骨粗鬆症と間違えられてしまうことも!?骨軟化症の正しい診断のために知ってほしいこと

現在、「痛みや筋力の低下があるけど、原因がわからない」「骨粗鬆症や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、大腿骨頭壊死などと診断され治療していても症状がよくならない」などと悩んでいませんか?

成人で発症する「骨軟化症」の主な症状は痛みや筋力の低下で、他の疾患にも現れるため正確な診断まで時間がかかったり、他の疾患に間違われて診断されてしまう場合があります。実際に成人で発症したほとんどのケースで、発症当初は骨粗鬆症や関節リウマチ、脊柱管狭窄症など他の疾患と誤診されています1,2)

このページでは特に、骨がもろくなり骨折しやすくなる特徴が同じで最も間違われやすい骨粗鬆症と骨軟化症の違い、原因の見分け方を紹介します。

成人で発症する「骨軟化症」と混同されやすい主な疾患3-4)
骨粗鬆症
椎間板ヘルニア
脊椎関節炎・強直性脊椎炎
大腿骨頭壊死
関節リウマチ
関節炎
線維筋痛症
脊柱管狭窄症
がんの骨転移
変形性関節症

骨軟化症と骨粗鬆症の見分け方

骨軟化症と似た症状をもっていて最も間違われやすい疾患として、骨粗鬆症が挙げられます1)

これら2つの疾患は骨がもろくなり骨折しやすくなる状態であること、痛みが生じる点が共通しており混同されやすいです。しかし、骨折が起こりやすい部位や骨の質・量に違いがあります。

骨粗鬆症と診断・治療されてもなかなか症状が改善しない方は、参考にしてみてください。

骨軟化症と骨粗鬆症の違い①
骨折が起こりやすい部位

図1

骨折が起こりやすい部位(骨粗鬆症)
骨折が起こりやすい部位(骨軟化症)

骨軟化症で骨折が起こりやすい部位は、肋骨や太ももの真ん中(大腿骨骨幹部だいたいこつこっかんぶ)、すね(脛骨けいこつ)、足の甲(中足骨ちゅうそっこつ)などです(図1)。

骨粗鬆症の場合は背骨(椎体ついたい)、太ももの付け根(大腿骨近位部だいたいこつきんいぶ)、手首(橈骨遠位端とうこつえんいたい)、腕の付け根(上腕骨近位部じょうわんこつきんいぶ)などです(図1)。

ご自身が骨折している部位と照らし合わせて確認してみてください。

その痛み、骨軟化症が原因?骨軟化症の痛みの特徴

骨軟化症と骨粗鬆症の違い②
骨の質・量の違い

図2

骨軟化症と骨粗鬆症の違い②骨の質・量の違い

骨軟化症の患者さんは、体内でのリンやカルシウムの不足などによって骨を硬くする石灰化が妨げられているため、通常と比べて柔らかい状態の骨(類骨)の割合が多くなっています(図2・中央)。

一方、骨粗鬆症の患者さんの骨量は骨の新陳代謝(古くなった骨を壊して新しい骨に作り替えること)のバランスが加齢や閉経などが原因で崩れるため減少しますが、石灰化した骨と類骨の割合は健康な人と同じです(図2・右)。

自身の骨の状況が分からない場合、主治医に相談してみてください。

くる病・骨軟化症とは

リンの値が、診断の鍵

リンの値が、診断の鍵

適切な治療を受けるためには早期診断が欠かせないため、他の疾患との鑑別が重要ですが、症状だけではくる病・骨軟化症との鑑別は容易ではありません。

他の疾患と鑑別する上で大切なのは、血中のリンの値です。血液検査が行われる場合には、リンの値も測定してもらうと、正しい診断の役に立つ場合があります。

くる病・骨軟化症の診断

正しく診断され、正しい治療を行うために

疾患によって適切な治療は異なるため、骨軟化症ではなく誤って骨粗鬆症など他の疾患に診断されてしまうと、適切な治療が受けられないため症状はよくならず生活の質(Quality of Life:QOL)は改善されません。治療が遅れるだけでなく、間違った治療により症状が悪化してしまう可能性もあります。

正しく診断され、正しい治療を行うためにも、以下の症状をお持ちの方は一度専門家に相談してみませんか?

  • 「骨粗鬆症と診断されたけど、ずっと痛みが続いている」
  • 「治療しているのに、生活が全然ラクにならない」

専門家に相談することで、原因や治療法が見えてくる可能性もあるので、ご活用ください。

気になる症状、どうしたらいい?|くるこつ電話相談・病院検索のご案内

 

正しい診断には血中のリンの値が重要ですので、実際に相談する際はリンの値を測定してもらいましょう。

1)Feng J,et al.Endocr J 2017;64(7):675-683
2)Naoko Hidaka,Minae Koga,et al. J Bone Miner Res. 2022;37(8):1479-1488.
3)古家美菜絵, 小林寛, 伊東伸朗. FGF23過剰症の運動器障害. 整形・災害外科. 2017; 60(13): 1599-1608.
4)福本誠二,ほか.くる病・骨軟化症の診断マニュアル(2015年).日本内分泌学会雑誌 2015;91(Suppl):1-11

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