XLH Café 開催レポート【2025年10月19日開催】
| 開催日 | 2025年10月19日(日) |
| 開催場所 | オンライン開催+東京・大阪・名古屋・岡山・福岡会場 |
2025年10月19日に開催された、XLHとともに生きる患者さん、ご家族を対象とした市民公開講座「XLH Café」では、東京、大阪、名古屋、岡山、福岡の5会場に加え、オンラインにて患者さんとそのご家族の方々にご参加いただきました。
今西 康雄先生(大阪公立大学)の開会のご挨拶に始まり、各先生方より小児期から成人期、合併症までライフステージに沿った様々なご講演がありました。ここでは、その一部をご紹介します。
目次
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みんなに知ってほしいXLH「みなさんの体質を理解しよう」
長谷川 行洋 先生
東京都立小児総合医療センター 内分泌・代謝科
東京都立多摩北部医療センター 小児科 -
向き合ってほしい治療 ~小児の治療概要~
田中 弘之 先生
岡山済生会総合病院 -
向き合ってほしい治療 ~成人の治療概要~
鈴木 敦詞 先生
藤田医科大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学 -
向き合ってほしい治療 ~XLHの合併症~
伊東 伸朗 先生
東京大学大学院医学系研究科 難治性骨疾患治療開発講座
東京大学医学部附属病院 骨粗鬆症センター -
治療と向き合っていくために ~トランジション~
髙士 祐一 先生
福岡大学病院 内分泌・糖尿病内科 -
意識してほしい歯のケア
大川 玲奈 先生
大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座
みんなに知ってほしいXLH「みなさんの体質を理解しよう」
演者: 長谷川 行洋 先生
(東京都立小児総合医療センター 内分泌・代謝科
東京都立多摩北部医療センター 小児科)
骨はリンやカルシウムを材料に毎日生まれ変わります。くる病・骨軟化症というのは骨の生まれ変わりがうまくいかず、骨が軟らかくなる体質です。この体質を子どもの場合はくる病、大人の場合は骨軟化症といい、子どもでは低身長、大人では骨折などの症状が現れます。
くる病・骨軟化症にはいろんな原因がある中で、XLHは、血液の中のリンが少なくなることで、骨が軟らかくなってしまう、と言うことをまずは理解していただければと思います。
リンが少なくなる体質は生まれつきの設計図(遺伝子)の違いが関係しています。設計図はお父さんお母さんから1セットずつ受け継ぎますが、設計図の違いも受け継ぐことがあります。設計図は2万個以上もあるので誰も完全には再現されていません。XLHの患者さんはその違うところがたまたまリンに関係していると言うことです。この設計図の違いは現時点では直すことができませんが、リンが少ないことは治療ができます。自分の体質を学び、うまくお付き合いしていただきたいと思います。
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向き合ってほしい治療 ~小児の治療概要~
演者: 田中 弘之 先生
(岡山済生会総合病院)
くる病を発見するきっかけになるのは、O脚や歩き方です。赤ちゃんは大なり小なりO脚で、3歳ごろからまっすぐになっていくのが通常であるため、極端にO脚がひどい状態を見つけ出すのがポイントとなります。
O脚や歩き方でくる病の症状を発見した場合、レントゲン検査や血液検査、尿検査で低リン血症性くる病であると確定させ、血中のFGF23値や家族歴の有無の確認、遺伝子検査でくる病の種類を調べます。治療にはリンを補充する薬と、腸からのリンの吸収を増やす活性型のビタミンDの内服を併用する方法やFGF23の働きを抑える薬を使用する方法がありますが、各治療法には注意する点がいくつかあります。早期に治療を開始することでO脚が治癒する可能性が高くなりますし、身長増加も保つことが期待できます。O脚の治療では、日常生活で正しい姿勢を意識することや適度な運動や外遊びも大切です。無理な矯正は避け、気になる場合は小児整形外科を受診していただければと思います。
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向き合ってほしい治療 ~成人の治療概要~
演者: 鈴木 敦詞 先生
(藤田医科大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学)
骨は、カルシウムとリンによって硬く丈夫に保たれています。骨を丈夫にするためのバランスを調整しているのが副甲状腺ホルモンやFGF23です。XLHではFGF23が働きすぎて、リンが不足し、骨が弱くなってしまいます。
大人になった後にリンの不足により骨が弱くなってしまうと、骨折しやすくなったり、骨が変形して関節症を起こしやすくなったりします。また、疲れやすくなったり、力が入りにくくなったりもします。これまで行われた治療法は、リンやビタミンDを補って、骨の材料を補充する治療でした。最近ではFGF23の働きを直接抑える薬で、体の中にリンを保ちやすくする治療も行われています。これらの治療により骨を丈夫にすることで、骨の変形を防いだり、日常生活活動度をあげたりすることができるようになってきました。
治療中はカルシウム・リンだけではなく、タンパク質などの栄養素をしっかり取ること、適切な運動をして筋肉を動かすことが大切です。成人の骨は高齢になると弱りやすくなります。成長期とは異なり、「骨を大きくする」のではなく、「骨の質と量を保つ」ことが成人期の目標です。食事・運動・薬を適切に組み合わせ、骨の収支バランスを整えることが、将来の骨折予防や生活の質の維持につながります。
向き合ってほしい治療 ~XLHの合併症~
演者: 伊東 伸朗 先生
(東京大学大学院医学系研究科 難治性骨疾患治療開発講座
東京大学医学部附属病院 骨粗鬆症センター)
XLHでは肋骨や足の甲にひびが入りやすく、さらに修復に時間がかかるため、骨を横断しないタイプの骨折「偽骨折」が起こることがあります。その他の合併症としては、変形性関節症や難聴、後縦靭帯が骨のように固くなってしまう「後縦靭帯骨化症」、関節周囲で腱や靭帯に沿って骨化が起こる「腱付着部症」などがあります。「後縦靭帯骨化症」や「腱付着部症」に対しては、現在症状を緩和する治療が行われており、根本的な治療法はこれから開発しなければなりません。
合併症の中には治療薬によって起こるものもあります。XLHの治療ではリン製剤や活性型ビタミンD製剤を長期に服用することが多く、それにより副甲状腺が腫瘍化する「三次性副甲状腺機能亢進症」が起こると血液中のカルシウム濃度が上昇します。そうなると、腎臓による体の水分量を調整するシステムが障害され脱水となりやすく、慢性腎臓病の悪化へとつながることがあります。XLHの治療を受けている方は、カルシウムの値にもよく注意していただいて、暑い夏や発熱、下痢をした際など、脱水になりそうなときは水分と塩分をしっかり補給し、腎臓が悪くならないようにすることが大切です。
治療と向き合っていくために ~トランジション~
演者: 髙士 祐一 先生
(福岡大学病院 内分泌・糖尿病内科)
XLHでは小児診療科から成人診療科にどのように移行していくのか、移行するかどうかも含めて、決められたものはありません。公的医療費助成制度の観点から考えてみるのも一つの方法だと思います。小児の場合は小児慢性特定疾病、成人では特定疾病医療費助成になりますので、これらの制度の観点から考えると18歳から20歳の間に成人診療科へ移行するのが良いのではないか、というのが一つの考えです。そして移行にあたっては、症状や困っていることなどを自分で医師に伝えられるようになりましょう。合併症や検査データ、遺伝に関することなどについても少しずつ理解を深めておくことが大切です。そして、成人になっても治療や受診を継続することが大事です。治療を継続することで合併症を発症するリスクを回避できたり、合併症の症状に早期に気づくことができます。くる病・骨軟化症は専門医があまり多くないという課題があります。主治医の先生とどのように移行していったら良いか、「くるこつ広場」では病院検索機能もありますので、場合によってはそれらの情報も参考に積極的にご相談いただければと思います。
意識してほしい歯のケア
演者: 大川 玲奈 先生
(大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座)
XLH患者さんによくみられる歯のトラブルとして、歯肉膿瘍があげられます。歯肉膿瘍は歯の質が弱いために、歯が欠けたり、すり減ったりすることによって、口の中にいる細菌が歯の内部に侵入して神経が感染し、歯の根の先まで炎症が広がった状態のことを指します。歯肉膿瘍は乳歯だけではなく永久歯にもよく認められます。歯肉膿瘍に対しては、感染した神経を取り除く治療を行いますが、治療を繰り返すと歯がとても弱くなってしまいます。そのため、XLHの患者さんは若くして歯を失うことが多いとされています。
そこで、患者さんには定期的な歯科受診をお願いしたいと思います。まずは歯科を受診されたときにXLHであることをお伝えください。早期に適切な治療や予防処置を受けることで歯を守ることができます。次に定期的に専門家によるケアを受けましょう。XLH患者さんは、歯の質が弱く、むし歯の進行が早いため、むし歯を作らないための予防がとても大切です。一人ひとり歯の状態が違うため、それぞれのお口の状況に応じた正しい歯磨きの方法を教えてもらいましょう。
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